ストーリー
グラウンドゼロズの舞台から9年後。昏睡状態から目覚めた「彼」は9年の時を得て覚醒した。覚醒した直後、謎の女兵士に奇襲を受け暗殺されかけるが、イシュメールという男に助けられ一命を取り留める。病院をイシュメールと共に脱出するが...
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ユーザーに「永遠の空白」という幻肢痛を与えた「V」
未完成、クソとか言われているが悪くはなく面白い。ただもう少し開発期間を延ばしてくれたらと思ったが、そうであったら2017年今日現在でも発売してないかもしれない。
スネーク居すぎてストーリー難解説は確かにあるが、ここまで突っ込めて、考察する作品も中々ない。それほど皆がメタルギアブランドを思ってきたということだろう。小島監督はコナミで作り上げたいゲームを作っていたら、開発費が嵩み、いつ出来るか分からないゲームを会社は待てないと首を切られ退社。会社を去る前に繋ぎ合わせ急遽ゲーム発売して酷評という流れになってしまった。
ゲームクリエイターとしての才能はあったが、会社経営の才能は開花されなかった。経営が変わった後ソーシャルゲーム部門で業績が回復したのは時代がコンシューマゲームは求めていないということで、メタルギアブランドは会社にとっては癌みたいな存在だったのだろう。
世に放つ作品として設定も重く、ゲーム会社としては核兵器、戦争、少年兵と内容的にも扱いづらいジャンルである。「CERO D」だが実質「CERO Z」でも良いぐらい残酷な描写もあり、大人の為のゲームである。作品としては面白いが複雑化しすぎてメインターゲットが過去作を続けてきた人だけにしか理解できない内容になった。
シリアスであったが笑いもあった過去作に比べ、今回は笑い所もあまりなく内容が重いし、メタルギアソリッドの良い部分であった建物内単独潜入の良さが消えてしまい、ハードウェアスペックによる自由度の向上がダメな部分になってしまった。ハードウェアスペックの制限による建物内の単独潜入であったゲーム性がいつの間にかオープンワールド、国を越えた軍事力、核所有国の抑止力、戦争の悲惨さをグラフィックで訴える事へ方向転換してしまった。
伝えたい事があるのは理解できるが、万人がこれを理解するのは難しい話。会社という組織の中でビジネスとしてメタルギアは不必要とされてしまった。残念ながらこれにより日本内で世界と戦えるゲーム会社は一つ少なくなった。
FF15もディレクターが代わり発売されたが、クソみたいな評価である。ゲーム会社も内容よりも利潤を追求する営利会社なのである。時間を掛けて面白いゲームを作るより、手軽で儲けられるゲームを必要としている。メタルギアという版権がコナミにある限り、小島監督は続編を作る事が難しくなってしまったが版権を取り返し、いつの日かメタルギアの続編を作ってほしいばかりである。
メタルギアソリッドで伝えたい事は何であるのか
メタルギアソリッドで伝えたい事は何であるのか。当時のハードウェアの世界最高峰のグラフィック。ゲームシステム。「スネーク」の遺伝子の格好良さ。国家が所有する核兵器の抑止力について。戦争の悲惨さ。と色々な問題、それを伝える事が作品の良さである。
今回のキャッチコピー「悪に墜ちる。復讐の為に。」は作中で描かれなかったが、そこが描かれていたとしたら評価はまた違っていた。完成されていたとしたら誰の物語であるか。本編にはない蠅の王国の「イーライ(リキッド)」物語であるのかもしれないし、ヴェノムスネークのBIGBOSSに向けた物語であるかもしれない、声帯虫を作り出した真の組織に向けてモノであるかもしれない。
あの段階でエピソード51は30%の完成度ということなので、全体の構想としてはまだ先があったのだろう。全4章の予定だったのが急遽発売せざる得ない状況に追い込まれ残念ながら未完。「事実はなくそこには解釈のみが存在する」とニーチェの言葉を引用しラストを迎えたメタルギアソリッド最終作品。
ユーザーに「永遠の空白」という幻肢痛を与えた「V」。賛否両論あるが最高傑作はないにしても良作だと私は思う。最後に「待たせたな!」は作品が完成してから聞きたい台詞であった。